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FAQ

監修:横浜市立大学 名誉教授/客員教授
横浜リウマチ・内科クリニック 院長
石ヶ坪良明先生

1.病気について

ベーチェット病は治りますか?

回答:
ベーチェット病は、症状が現れたりおさまったりすることをくり返すことが特徴です。症状がない時期もありますが、完全に症状が現れなくなることは少ないことが知られています。
ベーチェット病の症状は、一部の特殊型の症状を除くと、発症から数年が重く、その後は軽快していく傾向があることも知られています1)。外陰部潰瘍、精巣上体炎(副睾丸炎)など、症状によっては、経過の中で症状が現れなくなることもあります。
病気と付き合いながらより快適な日常生活を続けていくためには、適切な治療を続けるほか、日常生活で口腔ケアを心がけたり、ストレスや冷えを避けたりするなど、症状の再発・悪化をできるだけ防いでいくことも大切です。

1)Kural-Seyahi E et al.:Medicine. 82:60-76, 2003

ベーチェット病は遺伝しますか

回答:
ベーチェット病の発症には遺伝的な要因が関与していることがわかっていますが、これは病気が遺伝するということではありません。
ベーチェット病では、HLA-B51、HLA-A26など多くの遺伝子の型が遺伝的な要因として報告され、これらをもっている人では、もっていない人と比べて、ベーチェット病を発症する割合が高いことが明らかになっています。しかし、こうした遺伝的な要因をもっていても必ず発症するわけではなく、例えばHLA-B51の型をもっている人におけるベーチェット病の発症は約1,500人に1人にすぎません1)。ベーチェット病は遺伝的な要因と環境的な要因が複雑に重なりあって発症すると考えられています。
また、ベーチェット病患者さんの血縁関係にある家族の方がベーチェット病を発症する頻度は日本人の場合で2.2%2)と報告されています。ベーチェット病が遺伝し子供も発症するのではという心配はほとんど必要ないと考えられます。
一般的に、遺伝子や染色体の異常が原因で発症する病気のことを遺伝病といいますが、ベーチェット病は決して遺伝病ではありません。

遺伝子検査について

1)岳野光洋:リウマチ科. 58: 412-419, 2017

2)Takeuchi M et al.: J Autoimmun. 64: 137-148, 2015

妊娠・出産はできますか?

回答:
ベーチェット病であっても、病状が安定した状態にあれば妊娠・出産は可能です。治療薬を胎児への影響が少ないものに変更するなど注意は必要ですが、妊娠中も治療を続けて症状をコントロールすることで、妊娠・出産をすることができます。
ベーチェット病患者さんの妊娠・出産のためには、妊娠前に症状がおさまり安定した体調になっていることが必要です。妊娠・出産を希望している場合は、必ず主治医に相談し、可能な限り胎児に影響が少ない治療薬へ変更して病状を安定させたうえで計画的な妊娠を目指しましょう。胎児への影響が少ない治療薬で病状を安定化できない場合や、特殊型ベーチェット病による重い症状がある場合は、妊娠・出産により重篤化するリスクを考慮し、主治医から妊娠が制限されることもあります。また、胎児に影響を及ぼす治療薬を服用中に予期せぬ妊娠をした場合は、その後の対処法について主治医と十分に話し合う必要があります。なお、ベーチェット病は遺伝したり、他人に感染したりする病気ではないため、子供がベーチェット病を発症する心配はありません。
ベーチェット病患者さんが妊娠すると、妊娠中はホルモンの変化などにより症状や再発は抑えられ、軽快した状態になることが多いことがわかっています。しかし、一部の患者さんで外陰部潰瘍の悪化や、血栓のできやすい患者さんで流産・早産がおきやすいことも報告されています。妊娠中は健康な人でも深部静脈血栓症がおこりやすく、深部静脈血栓症のあるベーチェット病患者さんの場合には妊娠中に再発・悪化するリスクが高くなるため慎重な管理が必要になります。妊娠中は、ベーチェット病の主治医と産婦人科医の連携のもと、慎重に症状と妊娠を管理していきます1)

妊娠中の治療薬について

1)岳野光洋:リウマチ科. 52: 69-75, 2014

眼症状があるので失明が心配です。

回答:
ベーチェット病による眼症状(ぶどう膜炎)の中でも、眼球の後部に炎症がおこる「網脈絡膜炎」の発作をくり返すと視力が低下しやすくなり、以前は失明に至る患者さんも多くいました。しかし、近年はベーチェット病の眼症状に有効な治療が普及したことで視力が低下する患者さんは大幅に減少しています。ベーチェット病の治療は、日々進歩を続けています。眼症状の発作を抑える治療を続けることで、将来にわたって視力を維持していきましょう。
ベーチェット病の眼症状に対する治療については、以下の「眼症状について」をご参照ください。

眼症状について

2.診断と治療について

かかりつけ医でベーチェット病の疑いがあると言われました。診断には、どのような病院を受診したらよいですか?

回答:
主症状や副症状があっても診断基準を満たさない場合は、「ベーチェット病の疑い」として、かかりつけ医などで引き続き経過観察するのが一般的です。経過観察の中で新たな症状が現れたなどの場合には、診断基準を満たす可能性もあるため、ベーチェット病の専門医がいる病院などを受診するのがよいでしょう。
ベーチェット病は診断の難しい病気です。かかりつけ医によってベーチェット病である可能性が高いと判断された場合は、かかりつけ医からベーチェット病の専門医に紹介してもらい、詳しい検査や診察を受けるとよいでしょう。かかりつけ医などから専門医に伝えられる経過についての情報は、専門医が診断する際にも重要な手がかりとなります。ベーチェット病の診断のために病院を受診したい場合は、一度かかりつけ医に相談してみましょう。また、専門医を受診の際は、どんな症状がいつから現れて、どのようにくり返しているかなどを振り返り、それまでの経過をまとめておくとよいでしょう。症状が現れているときに、患部を写真で撮影しておくと、受診したときに正確な診断を行う助けになります。
ただし、現在までに現れている症状の組み合わせで診断基準を満たしていない「ベーチェット病の疑い」の場合は、ベーチェット病の専門医に受診してもやはり、経過観察となる可能性もあります。専門医への受診のタイミングとしては、新たな症状が現れたときや、それまで見落としていたベーチェット病を疑う症状に気づいた、症状が悪化してきたなどの場合がよいでしょう。また、専門医に症状を詳しく調べてもらうためには、症状がおさまっている時期ではなく、症状が現れている時期に病院を受診することが大切です。なお、眼症状や特殊型が疑われる症状がある場合は、かかりつけ医からベーチェット病の専門医に紹介してもらい、眼科、消化器内科、神経内科などの専門医に症状を詳しく調べてもらうことも必要です。

ベーチェット病の診断基準について
妊娠中も治療薬は続けられますか?

回答:
妊娠中のベーチェット病患者さんは、ステロイド内服薬など胎児への影響が少ないと考えられる治療薬で治療を続けていきます。一部の免疫抑制薬は胎児に明らかな影響が確認されており、妊娠前までに中止したり、他の治療薬に変更したりしておく必要があります。
ベーチェット病の治療薬の中でもステロイド内服薬や痛風・家族性地中海熱治療薬は胎児への影響が比較的少ないと考えられ、妊娠を希望する患者さんはこれらの治療薬に変更して妊娠・出産に臨むことができます。妊娠中は少量のステロイド内服薬で症状をコントロールしていきますが、必要な場合は痛風・家族性地中海熱治療薬を使用することもあります。病状が安定していれば治療薬は中止することも可能です。
妊娠中には一部の免疫抑制薬など胎児への影響が明らかな治療薬は使用できないため、治療薬の選択肢が限られてしまいます。そのため、妊娠中にステロイド内服薬などで病状が安定しない場合は、胎児への影響が比較的少ない種類の免疫抑制薬を慎重に使用することもあります。
妊娠中の治療薬の使用は個々の患者さんによっても異なりますので、心配なことがあったら主治医に相談しましょう。「妊娠と薬情報センター」でも妊娠中の治療薬について相談することができます。

国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」

※本来は痛風発作の治療や予防に使用されるお薬ですが、ベーチェット病の治療にも使用されています。

参考資料:齋藤滋 他:厚生労働科学研究費補助金 全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、若年性特発性関節炎(JIA)や炎症性腸疾患(IBD)罹患女性患者の妊娠、出産を考えた治療指針 平成28-29年度報告書, 2018
日本産科婦人科学会, 日本産婦人科医会 編集・監修:産婦人科診療ガイドライン 産科編2017, p76, 2017

3.日常生活で注意が必要なこと

喫煙はやめたほうがよいですか?

回答:
喫煙は全てのベーチェット病の症状に悪影響を与えます。特に、ベーチェット病の中で最も重症な慢性進行型の神経(型)ベーチェット病の発症には、喫煙が関係していることが明らかになっています。中枢神経病変はベーチェット病の診断から何年もたってから現れることが多い症状です。喫煙が関係している中枢神経病変の発症をできるだけ避けるためにも、ベーチェット病患者さんには禁煙されることを強くお勧めします。
中枢神経病変をもつ神経(型)ベーチェット病は、治療の効果が得られやすい「急性型」と精神・神経症状が徐々に進行してしまう「慢性進行型」に分類されます。慢性進行型の神経(型)ベーチェット病の患者さんの約9割が喫煙者であり1)、喫煙が慢性進行型の神経(型)ベーチェット病の発症に関係していることが示されています2)

1) Hirohata S et al.: Mod Rheumatol, 22: 405-413, 2012.
2)Aramaki K et al.: Mod Rheumatol. 17: 81-82, 2007

4.相談窓口について

ベーチェット病についての相談窓口はありますか?

回答:
ベーチェット病の症状や治療について気になることがあったら、まず主治医に相談することが大切です。その他の生活に関する相談や医療費助成制度などの公的支援については、各都道府県・指定都市の「難病相談支援センター」などで相談できます。

難病相談支援センター

難病情報センター/都道府県指定都市難病相談支援センター 一覧

  • 難病の患者さんやそのご家族からのさまざまな相談を電話や面談などで受け付けています。
  • 医療費助成制度や公的手続きに関する相談、就労支援も関係機関と連携して実施しています。
厚生労働省/難病患者の就労支援(難病のある方へ)
  • 一部のハローワークには専門スタッフが配置され、難病患者さんの就労に関する相談・支援を行っています。