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ベーチェット病の診断

ベーチェット病の診断

ベーチェット病では、この症状がみられればベーチェット病である、この検査でこの結果がみられればベーチェット病であるといった、病気に特異的な症状や検査所見がありません。

そのため、くり返し現れる症状や、症状の組み合わせを注意深く観察しながら診断を進めていきます。

ただし、ベーチェット病でみられる症状は他の病気でもみられることがあるため、他の病気である可能性を除きながら診断をつけていく必要があります。

このように、ベーチェット病は診断が難しい病気といえます。ベーチェット病の各症状は一度に現れるのではなく、現れたりおさまったりをくり返すため、一度の診察では診断できないことがあります。

また、ベーチェット病が疑われる症状の経過を観察していくうちに、診断基準の条件を満たす症状が確認されて、ようやく診断されるという場合もあります。

なお、厚生労働省の診断基準では、ベーチェット病の診断の際に参考となる検査があげられていますが、それらの検査の結果を基に必ずベーチェット病であるという診断をつけることはできません。

ベーチェット病の検査・診断の流れ

ベーチェット病の診断基準と分類

水木信久 他:厚生労働科学研究費補助金 ベーチェット病に関する調査研究
平成26-28年度総括・分担研究報告書, 2017より作図

ベーチェット病の診断基準

ベーチェット病は、主症状、副症状といった症状の組み合わせを考慮した診断基準で診断されます。

厚生労働省の診断基準では、4つの主症状と5つの副症状のうち、それまでの病気の経過の中で現れたことのある症状を確認し、その組み合わせが診断基準の条件を満たしている場合に、ベーチェット病と診断します。

また、主症状と副症状の組み合わせによって、4つの主症状すべてがみられた場合を「完全型ベーチェット病」、主症状が3つ、または主症状が2つと副症状が2つ、または眼症状と主症状1つあるいは副症状2つがみられた場合を「不全型ベーチェット病」と分類します。

血管病変、消化器病変、中枢神経病変がみられる場合はそれぞれ血管(型)、腸管(型)、神経(型)ベーチェット病に分類され、特殊型ベーチェット病と総称されます。

ベーチェット病の診断基準と分類

ベーチェット病の検査・診断の流れ

水木信久 他:厚生労働科学研究費補助金 ベーチェット病に関する調査研究
平成26-28年度総括・分担研究報告書, 2017より作図

ベーチェット病の重症度分類

ベーチェット病は現れた症状によって重症度を判定します。

口腔潰瘍などのようにくり返し現れても後遺症を残さない症状もあれば、眼症状や特殊型ベーチェット病のように炎症によりさまざまな障害が積み重なり重症化しやすい症状もあるからです。

このように症状によって異なる影響の大きさを考慮にいれて患者さんごとの重症度を知るための指標が重症度分類です。

日本では厚生労働省の診断基準にもとづく重症度分類(ベーチェット病重症度基準)が定められています。ベーチェット病と診断された患者さんのうち、重症度基準でStageⅡ以上に該当すると判断されると、指定難病の医療費助成の対象となります。

ベーチェット病重症度基準(厚生労働省:2016年小改訂)

Stage 内容
眼症状以外の主症状(口腔粘膜のアフタ性潰瘍、皮膚症状、外陰部潰瘍)のみられるもの
Stage I の症状に眼症状として虹彩毛様体炎が加わったもの
Stage I の症状に関節炎や副睾丸炎が加わったもの
網脈絡膜炎がみられるもの
失明の可能性があるか、失明に至った網脈絡膜炎およびその他の眼合併症を有するもの
活動性、ないし重度の後遺症を残す特殊病型(腸管ベーチェット病、血管ベーチェット病、 神経ベーチェット病) である
生命予後に危険のある特殊病型ベーチェット病である
慢性進行型神経ベーチェット病である

水木信久 他:厚生労働科学研究費補助金 ベーチェット病に関する調査研究 平成26-28年度総括・分担研究報告書, 2017より作表

StageⅠの場合でも条件を満たすと医療費助成を受けられる場合があります。

HLA-B51やHLA-A26が陽性でも、それだけでベーチェット病と診断することはできません。なお、遺伝子検査には保険は適用されません。

最近では針反応で陽性を示す患者さんが少なくなってきており、あまり行われなくなってきています。

炎症が治まっても元の健康な状態に戻すことができない臓器の障害を指す。
ベーチェット病では主に眼障害や消化器病変、血管病変、中枢神経病変などによる内臓の障害(および後遺症)が生じることがある

病気や健康状態が生活の質(Quality of Life)に及ぼす影響を測るための指標。身体的な側面(身体機能、痛み、日常活動など)、役割・社会的な側面、精神的な側面、活力・倦怠感などについての質問票を用いて健康に関係するQOLの状態を調べて数値化する。
SF-36、EQ-5Dなどが知られている。

皮膚や粘膜の組織の一部が壊死してなくなっている状態

虹彩、毛様体、脈絡膜は眼球を包むぶどうの実のような色の組織であり、まとめて”ぶどう膜”とよばれる。ぶどう膜とそれに隣接する部位におこる炎症を “ぶどう膜炎”という

小腸のうち、胃や十二指腸に近い側の半分弱を空腸、大腸に近い側の半分強を回腸という。また、大腸の始まりの部分を盲腸といい、そのつなぎ目の部分を回盲部という。

本来は痛風発作の治療や予防に使用されるお薬ですが、ベーチェット病の治療にも使用されています。