ベーチェット病の発症には遺伝的な要因が関与していることがわかっていますが、これは病気が遺伝するということではありません。
ベーチェット病では、HLA-B51、HLA-A26など多くの遺伝子の型が遺伝的な要因として報告され、これらをもっている人では、もっていない人と比べて、ベーチェット病を発症する割合が高いことが明らかになっています。しかし、こうした遺伝的な要因をもっていても必ず発症するわけではなく、例えばHLA-B51の型をもっている人におけるベーチェット病の発症は約1,500人に1人にすぎません1)。
ベーチェット病は遺伝的な要因と環境的な要因が複雑に重なりあって発症すると考えられています。
また、ベーチェット病患者さんの血縁関係にある家族の方がベーチェット病を発症する頻度は日本人の場合で2.2%2)と報告されています。
ベーチェット病が遺伝し子供も発症するのではという心配はほとんど必要ないと考えられます。
一般的に、遺伝子や染色体の異常が原因で発症する病気のことを遺伝病といいますが、ベーチェット病は決して遺伝病ではありません。
1)岳野光洋:リウマチ科. 58:412-419, 2017
2)Takeuchi M et al.:J Autoimmun. 64:137-148, 2015