ベーチェット病は、身体の中の免疫バランスの異常によっておこる全身性の炎症性疾患です。
トルコのイスタンブール大学のベーチェット先生が報告したことから、この名がつけられました。
ベーチェット病の歴史は古く、紀元前5世紀には古代ギリシャの書物にベーチェット病らしき病気の記載があったなど、古くから知られていたようです。
ベーチェット病は、症状が現れたりおさまったりすることを、長い期間にわたり何度もくり返すことが特徴です。
ベーチェット病患者さんに最も多く現れる症状は口腔潰瘍ですが、そのほかにも外陰部潰瘍、皮膚症状、眼症状など、さまざまな症状がさまざまな組み合わせで現れます。患者さんによって現れる症状の組み合わせが大きく異なることも、ベーチェット病の特徴の一つです。
なお、ベーチェット病は、一定の基準を満たす患者さんでは、国から医療費助成が受けられる指定難病として指定されています。
ベーチェット病は、世界的には日本をはじめ、韓国、中国、中近東、地中海沿岸地域といった北緯30度から45度付近のシルクロード沿いの地域で多くみられます。
このためシルクロード病とよばれることもあります。
ベーチェット病が多く見られる地域
日本では、人口10万人当たり13.5人がベーチェット病の患者さんであるという報告があります1)。ベーチェット病で指定難病の特定医療費受給者証を保有している患者さんの数は約1万5千人です2)。
ベーチェット病は、以前は男性に多いといわれていましたが、最近では男女の数の違いはほとんどないとされています。
発症年齢は30歳代後半3)にピークがあるといわれています。
また、日本の高齢化社会の進展に伴い、ベーチェット病患者さんも高齢化が進んでいます。
日本人ベーチェット病患者さんの年齢層別分布4)
日本人ベーチェット病患者さんの発症年齢の分布3)
1)Leonardo NM et al.:Int J Rheumatol. 2015:945262, 2015
2)e-Stat:平成29年度衛生行政報告例
3)岳野光洋 他:リウマチ科. 60:322-329, 2018
4)e-Stat:平成28年度衛生行政報告例