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ベーチェット病の診断と検査

監修:横浜市立大学 名誉教授/客員教授
横浜リウマチ・内科クリニック 院長
石ヶ坪良明先生

診断までの流れ

ベーチェット病では、この症状がみられればベーチェット病である、この検査でこの結果がみられればベーチェット病であるといった、病気に特異的な症状や検査所見がありません。そのため、くり返し現れる症状や、症状の組み合わせを注意深く観察しながら診断を進めていきます。
ただし、ベーチェット病でみられる症状は他の病気でもみられることがあるため、他の病気である可能性を除きながら診断をつけていく必要があります。
このように、ベーチェット病は診断が難しい病気といえます。ベーチェット病の各症状は一度に現れるのではなく、現れたりおさまったりをくり返すため、一度の診察では診断できないことがあります。また、ベーチェット病が疑われる症状の経過を観察していくうちに、診断基準の条件を満たす症状が確認されて、ようやく診断されるという場合もあります。
なお、厚生労働省の診断基準では、ベーチェット病の診断の際に参考となる検査があげられていますが、それらの検査の結果を基に必ずベーチェット病であるという診断をつけることはできません。

水木信久 他:厚生労働科学研究費補助金 ベーチェット病に関する調査研究 平成26-28年度総括・分担研究報告書, 2017より作図

※1 HLA-B51やHLA-A26が陽性でも、それだけでベーチェット病と診断することはできません。なお、遺伝子検査には保険は適用されません。

※2 最近では針反応で陽性を示す患者さんが少なくなってきており、あまり行われなくなってきています。

ベーチェット病の診断基準

ベーチェット病は、主症状、副症状といった症状の組み合わせを考慮した診断基準で診断されます。
厚生労働省の診断基準では、4つの主症状と5つの副症状のうち、それまでの病気の経過の中で現れたことのある症状を確認し、その組み合わせが診断基準の条件を満たしている場合に、ベーチェット病と診断します。
また、主症状と副症状の組み合わせによって、4つの主症状すべてがみられた場合を「完全型ベーチェット病」、主症状が3つ、または主症状が2つと副症状が2つ、または眼症状と主症状1つあるいは副症状2つがみられた場合を「不全型ベーチェット病」と分類します。血管病変、消化器病変、中枢神経病変がみられる場合はそれぞれ血管(型)、腸管(型)、神経(型)ベーチェット病に分類され、特殊型ベーチェット病と総称されます。

水木信久 他:厚生労働科学研究費補助金 ベーチェット病に関する調査研究 平成26-28年度総括・分担研究報告書, 2017より作図

ベーチェット病の重症度分類

ベーチェット病は現れた症状によって重症度を判定します。口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍などのようにくり返し現れても後遺症を残さない症状もあれば、眼症状や特殊型ベーチェット病のように炎症によりさまざまな障害が積み重なり重症化しやすい症状もあるからです。このように症状によって異なる影響の大きさを考慮にいれて患者さんごとの重症度を知るための指標が重症度分類です。
日本では厚生労働省の診断基準にもとづく重症度分類(ベーチェット病重症度基準)が定められています。ベーチェット病と診断された患者さんのうち、重症度基準でStageⅡ以上に該当すると判断されると、指定難病の医療費助成の対象となります

※StageⅠの場合でも条件を満たすと医療費助成を受けられる場合があります。

水木信久 他:厚生労働科学研究費補助金 ベーチェット病に関する調査研究 平成26-28年度総括・分担研究報告書, 2017より作図

指定難病の医療費助成について詳しくは

ベーチェット病の検査

ベーチェット病では、診断の決め手となる検査所見はありませんが、ベーチェット病患者さんでよくみられる遺伝子※1や皮膚の過敏反応(針反応)※2を調べることで、診断の参考とすることがあります。
また、炎症反応を調べる検査も診断の参考になります。全身の炎症性疾患であるベーチェット病では、症状が現れている時期(活動期)には血液検査で炎症反応を示す数値が高くなります。炎症反応があってもベーチェット病とはかぎりませんが、活動期に炎症反応がない場合はベーチェット病ではない可能性が高くなります。また、患者さんの炎症反応が大きい場合には炎症を抑えるための治療を強化するなど、炎症反応を調べる検査はベーチェット病の病気の勢いを把握し治療につなげるための手がかりとなります。
診断においては、ベーチェット病を疑う症状が、他の病気によるものである可能性を除外するための検査も行われます。検査の結果、他の病気と診断されることもあります。
治療中には、治療薬の副作用が現れていないか、気づかないうちに病気が進行していないかなど、全身状態を調べるための検査も定期的に行われます。

ベーチェット病の診断で参考とすることがある検査

ベーチェット病の診断の際に参考とすることがある検査には、血液検査、遺伝子検査※1、針反応※2などがあります。
また、特殊型ベーチェット病が疑われる場合には、脊髄検査や画像検査(MRI)、内視鏡検査などを行うこともあります。

※1 HLA-B51やHLA-A26が陽性でも、それだけでベーチェット病と診断することはできません。なお、遺伝子検査には保険は適用されません。

※2 最近では針反応で陽性を示す患者さんが少なくなってきており、あまり行われなくなってきています。

皮膚症状の診断のための病理組織検査

症状のある皮膚の一部をメスや専用器具で採取し、顕微鏡で組織を詳しく調べる検査です。ベーチェット病による皮膚症状と、他の病気による皮膚症状で異なる特徴を確認できます。特に結節性紅斑は、他のさまざまな病気でもよく似た症状が現れるため、診断において病理組織検査が重要です。

眼症状の診断のための検査

ぶどう膜炎による眼症状を詳しく調べるためにさまざまな眼検査を行います。ベーチェット病で現れるぶどう膜炎は、蛍光色素を使った眼底造影検査で、他の病気によるぶどう膜炎とは異なる特徴が確認されます。

消化器病変の診断のための検査

腸管(型)ベーチェット病が疑われる場合は、内視鏡検査やX線造影検査によって消化管を観察します。内視鏡検査などで消化管の回盲部という部分に、ベーチェット病に特徴的な深く掘れたような潰瘍がみつかると、クローン病など他の炎症性腸疾患との鑑別が可能となります。

血管病変の診断のための検査

血管(型)ベーチェット病が疑われる場合は、超音波検査や造影CT検査、MRI検査で血管に血栓やこぶ(動脈瘤)ができていないか確認します。また、血栓ができやすい状態にあることを示すD-ダイマーの値を血液検査で調べることもあります。

中枢神経病変の診断のための検査

神経(型)ベーチェット病が疑われる場合は、髄液検査や頭部MRI検査を行います。髄液検査では、腰椎の間に針を刺し、髄液を採取して細胞数やIL-6という炎症を引きおこす物質の量を調べます。頭部MRI検査では脳に萎縮がないかなどを調べます。