ベーチェット病であっても、病状が安定した状態にあれば妊娠・出産は可能です。
治療薬を胎児への影響が少ないものに変更するなど注意は必要ですが、妊娠中も治療を続けて症状をコントロールすることで、妊娠・出産をすることができます。
ベーチェット病患者さんの妊娠・出産のためには、妊娠前に症状がおさまり安定した体調になっていることが必要です。
妊娠・出産を希望している場合は、必ず主治医に相談し、可能な限り胎児に影響が少ない治療薬へ変更して病状を安定させたうえで計画的な妊娠を目指しましょう。
胎児への影響が少ない治療薬で病状を安定化できない場合や、特殊型ベーチェット病による重い症状がある場合は、妊娠・出産により重篤化するリスクを考慮し、主治医から妊娠が制限されることもあります。
また、胎児に影響を及ぼす治療薬を服用中に予期せぬ妊娠をした場合は、その後の対処法について主治医と十分に話し合う必要があります。
なお、ベーチェット病は遺伝したり、他人に感染したりする病気ではないため、子供がベーチェット病を発症する心配はありません。
ベーチェット病患者さんが妊娠すると、妊娠中はホルモンの変化などにより症状や再発は抑えられ、軽快した状態になることが多いことがわかっています。
しかし、一部の患者さんで外陰部潰瘍の悪化や、血栓のできやすい患者さんで流産・早産がおきやすいことも報告されています。
妊娠中は健康な人でも深部静脈血栓症がおこりやすく、深部静脈血栓症のあるベーチェット病患者さんの場合には妊娠中に再発・悪化するリスクが高くなるため慎重な管理が必要になります。
妊娠中は、ベーチェット病の主治医と産婦人科医の連携のもと、慎重に症状と妊娠を管理していきます1)。
1)岳野光洋:リウマチ科. 58:412-419, 2017