口腔潰瘍は、ほぼすべてのベーチェット病患者さんに現れる症状です。
痛みが強く同時にいくつも現れることも多いため、患者さんは食べたり飲んだりすることに苦痛を感じたり、食事が摂れなくなることがあります。また、長い間何度もくり返し現れて患者さんを悩ませるため、QOL(生活の質)への影響が大きい症状といえます。
このような口腔潰瘍の悪化を防ぎ、より快適な日常生活を続けていくためには、患者さん自身による日常生活の自己管理も大切になります。
ベーチェット病は、ストレスや疲労、冷えなどが症状の発症につながることがあります。そのため、ストレスの軽減につとめるとともに、規則正しい生活を送ることなどが大切です。
また、皮膚が物理的な刺激に対して過敏になり、炎症をおこしやすい状態になることもありますので注意が必要です。
ここでは、ベーチェット病患者さんに向けて、口腔ケアを中心とした日常生活の注意点、日常生活全般の注意点についてご紹介します。
ベーチェット病による口腔潰瘍があると、痛みのために口腔ケアがおろそかになってしまう場合があります。
口腔潰瘍と口腔内の衛生環境は密接にかかわっています。
口腔潰瘍を改善・予防するためには、口腔内を清潔な状態に保つことが大切です。
1)金子史男 他:最新医学. 43:265-280, 1988
ベーチェット病では、ストレスや疲れをためず、規則正しい生活を送ることが大切です。
また、寒い地域にいたり、身体を冷やしたりすることで症状が現れたり悪くなったりすることがありますので、天候や気候の変化にも注意が必要です。
感染症をおこすことで症状が現れたり悪くなったりすることがあります。
そのため、ピアスやタトゥー、整形手術などで身体に傷をつけることは避けた方がよいでしょう。
手術や抜歯を行う必要がある場合でも、主治医と相談して慎重に時期を選んでください。
また、野外では服装などを工夫して、虫さされやけが、過度の日焼けなどから皮膚を守るようにしましょう。
運動中のけがにも注意が必要です。
ベーチェット病患者さんが特に避けるべき食物はありませんが、消化の良いバランスのとれた食事を心がけましょう。
ベーチェット病は症状が現れたりおさまったりをくり返す病気です。
症状が現れていない時も、主治医の指示にしたがい定期的な受診を続けましょう。
定期的な受診を続けることで、服薬中のお薬の副作用がみられていないか、症状の再発・悪化が現れていないかなどを確認していくことが大切です。
また、症状がくり返し現れるのを抑えるためのお薬もありますので、症状が現れていなくても医師から続けるように指示があったお薬は、勝手にやめたり、変更したりしないようにしましょう。