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ベーチェット病の検査

ベーチェット病の検査

ベーチェット病では、診断の決め手となる検査所見はありませんが、ベーチェット病患者さんでよくみられる遺伝子皮膚の過敏反応(針反応)を調べることで、診断の参考とすることがあります。

また、炎症反応を調べる検査も診断の参考になります。

全身の炎症性疾患であるベーチェット病では、症状が現れている時期(活動期)には血液検査で炎症反応を示す数値が高くなります。炎症反応があってもベーチェット病とはかぎりませんが、活動期に炎症反応がない場合はベーチェット病ではない可能性が高くなります。

患者さんの炎症反応が大きい場合には炎症を抑えるための治療を強化するなど、炎症反応を調べる検査はベーチェット病の病気の勢いを把握し治療につなげるための手がかりにもなります。

診断においては、ベーチェット病を疑う症状が、他の病気によるものである可能性を除外するための検査も行われます。

検査の結果、他の病気と診断されることもあります。

治療中には、治療薬の副作用が現れていないか、気づかないうちに病気が進行していないかなど、全身状態を調べるための検査も定期的に行われます。

ベーチェット病の診断で参考とすることがある検査

ベーチェット病の診断の際に参考とすることがある検査には、血液検査、遺伝子検査針反応などがあります。

また、特殊型ベーチェット病が疑われる場合には、脊髄検査や画像検査(MRI)、内視鏡検査などを行うこともあります。

ベーチェット病の診断の際に参考となる主な検査

血液検査 血液検査では、炎症があるかどうかを調べます。
赤血球沈降速度、CRP、白血球数などが高い値を示した場合、炎症反応が活性化して病気の勢いが強くなっていることを示します。
炎症がみられる場合、身体の中の免疫バランスの異常という点から、診断の参考になります。
遺伝子検査 細胞の表面にあるヒト白血球抗原 (HLA) という物質の型を調べる検査です。
HLAの型は、血液型のように、生まれながら遺伝子によって決まっています。
ベーチェット病患者さんでは、HLA-B51やHLA-A26という特定の型をもっている人が多く、発症の遺伝的な要因の一つと考えられています。
ただし、これらの遺伝子が陽性でもベーチェット病とは限りません。
HLA-B51陽性やHLA-A26陽性の方はベーチェット病の発症リスクが高いと考えられており、診断で参考にされることがあります。
なお、遺伝子検査には保険は適用されません。
針反応 注射針を皮膚に軽く刺して、24~48時間後の状態を確認します。
赤く膨らんだり、 膿がたまってきたりする場合に陽性と判定します。
ただし、最近では針反応で陽性を示す患者さんが少なくなってきており、あまり行われなくなってきています。
髄液検査、
画像検査(MRI)、
内視鏡検査など
特殊型ベーチェット病が疑われる場合に行われることがあります。

水木信久 他:厚生労働科学研究費補助金 ベーチェット病に関する調査研究 平成26-28年度総括・分担研究報告書, 2017より作表

皮膚症状の診断のための病理組織検査

症状のある皮膚の一部をメスや専用器具で採取し、顕微鏡で組織を詳しく調べる検査です。
ベーチェット病による皮膚症状と、他の病気による皮膚症状で異なる特徴を確認できます。
特に結節性紅斑は、他のさまざまな病気でもよく似た症状が現れるため、診断において病理組織検査が重要です。

眼症状の診断のための検査

ぶどう膜炎による眼症状を詳しく調べるためにさまざまな眼検査を行います。
ベーチェット病で現れるぶどう膜炎は、蛍光色素を使った眼底造影検査で、他の病気によるぶどう膜炎とは異なる特徴が確認されます。

消化器病変の診断のための検査

腸管(型)ベーチェット病が疑われる場合は、内視鏡検査やX線造影検査によって消化管を観察します。
内視鏡検査などで消化管の回盲部という部分に、ベーチェット病に特徴的な深く掘れたような潰瘍がみつかると、クローン病など他の炎症性腸疾患との鑑別が可能となります。

血管病変の診断のための検査

血管(型)ベーチェット病が疑われる場合は、超音波検査や造影CT検査、MRI検査で血管に血栓やこぶ(動脈瘤)ができていないか確認します。
また、血栓ができやすい状態にあることを示すD-ダイマーの値を血液検査で調べることもあります。

中枢神経病変の診断のための検査

神経(型)ベーチェット病が疑われる場合は、髄液検査や頭部MRI検査を行います。
髄液検査では、腰椎の間に針を刺し、髄液を採取して細胞数やIL-6という炎症を引きおこす物質の量を調べます。
頭部MRI検査では脳に萎縮がないかなどを調べます。

StageⅠの場合でも条件を満たすと医療費助成を受けられる場合があります。

HLA-B51やHLA-A26が陽性でも、それだけでベーチェット病と診断することはできません。なお、遺伝子検査には保険は適用されません。

最近では針反応で陽性を示す患者さんが少なくなってきており、あまり行われなくなってきています。

炎症が治まっても元の健康な状態に戻すことができない臓器の障害を指す。
ベーチェット病では主に眼障害や消化器病変、血管病変、中枢神経病変などによる内臓の障害(および後遺症)が生じることがある

病気や健康状態が生活の質(Quality of Life)に及ぼす影響を測るための指標。身体的な側面(身体機能、痛み、日常活動など)、役割・社会的な側面、精神的な側面、活力・倦怠感などについての質問票を用いて健康に関係するQOLの状態を調べて数値化する。
SF-36、EQ-5Dなどが知られている。

皮膚や粘膜の組織の一部が壊死してなくなっている状態

虹彩、毛様体、脈絡膜は眼球を包むぶどうの実のような色の組織であり、まとめて”ぶどう膜”とよばれる。ぶどう膜とそれに隣接する部位におこる炎症を “ぶどう膜炎”という

小腸のうち、胃や十二指腸に近い側の半分弱を空腸、大腸に近い側の半分強を回腸という。また、大腸の始まりの部分を盲腸といい、そのつなぎ目の部分を回盲部という。

本来は痛風発作の治療や予防に使用されるお薬ですが、ベーチェット病の治療にも使用されています。