皮膚症状

症状

ベーチェット病の診断時から多くの患者さんにさまざまな皮膚の症状がみられます。主な皮膚症状としては、結節性紅斑、毛嚢炎(毛包炎)様皮疹、血栓性静脈炎があります。

皮膚症状自体は1~2週間で治りますが、ベーチェット病の経過の中で長い年月にわたり何度もくり返し現れることのある症状です。

皮膚が過敏になり、虫さされ、注射、ひげ剃りなどの刺激で赤く腫れることもあります。

皮膚症状の実例写真

写真提供:石ヶ坪良明先生

  • ひざから足首あたりを中心に、赤く腫れて痛みがあり、皮膚の下に硬いしこりを感じる発疹が現れます。<結節性紅斑>
  • 顔や首などに、ニキビのような湿疹が現れる場合もあります。<毛嚢炎(毛包炎)様皮疹>
  • 皮膚の下の血管が詰まって炎症をおこし、血管に沿って痛みや腫れが現れます。<皮下の血栓性静脈炎>
  • 虫さされの跡が腫れたり赤くなったりします。

治療

皮膚症状が軽い場合はステロイド外用薬による治療が行われます。症状がない時期には、この治療はお休みすることができます。

ステロイド外用薬で十分な効果がみられない場合には、痛風・家族性地中海熱治療薬が使用されます。

このお薬は、本来は痛風発作の治療や予防に使用されるお薬ですが、ベーチェット病のさまざまな症状に効果があることがわかり、治療に使用されています。

皮膚症状がくり返し現れ続ける患者さんでは、いまある症状の改善に加えて、症状がくり返し現れることを抑えるためにも使用されます。

症状がおさまっている時期も服用を続けることで、ベーチェット病のさまざまな症状が再び現れることを抑える効果が期待できます。

また、皮膚症状の結節性紅斑、毛嚢炎(毛包炎)様皮疹では抗菌薬による治療で効果が得られることもあります。

以上の治療で効果がみられない場合には、ステロイド内服薬を使用することもあります。眼症状や特殊型など他の症状を伴う場合は、その治療として免疫抑制薬やTNF-α阻害薬などの強力な治療を行うこともありますが、これらの治療は通常、皮膚症状のみの患者さんには使用されません。

皮膚症状に使用される主な治療薬

治療薬 説明
ステロイド外用薬

皮膚や粘膜の炎症を抑えるお薬です。

症状にあわせて、飲み薬や注射剤と組み合わせて使用します。

痛風・家族性地中海熱治療薬

本来は痛風発作の治療や予防に使用されるお薬です。

白血球の働きを抑え、炎症を抑えるため、ベーチェット病の治療にも使われます。

抗菌薬 細菌の増殖を抑えるお薬です。
ステロイド内服薬

炎症を抑えるお薬です。

炎症を抑える効果は強力ですが、長期使用による副作用を防ぐため、症状が改善したら量を少しずつ減らしていきます。

TNF-α阻害薬 免疫機能にかかわり、炎症を引きおこす特定の物質(TNF-α)の働きを抑えるお薬です。

StageⅠの場合でも条件を満たすと医療費助成を受けられる場合があります。

HLA-B51やHLA-A26が陽性でも、それだけでベーチェット病と診断することはできません。なお、遺伝子検査には保険は適用されません。

最近では針反応で陽性を示す患者さんが少なくなってきており、あまり行われなくなってきています。

炎症が治まっても元の健康な状態に戻すことができない臓器の障害を指す。
ベーチェット病では主に眼障害や消化器病変、血管病変、中枢神経病変などによる内臓の障害(および後遺症)が生じることがある

病気や健康状態が生活の質(Quality of Life)に及ぼす影響を測るための指標。身体的な側面(身体機能、痛み、日常活動など)、役割・社会的な側面、精神的な側面、活力・倦怠感などについての質問票を用いて健康に関係するQOLの状態を調べて数値化する。
SF-36、EQ-5Dなどが知られている。

皮膚や粘膜の組織の一部が壊死してなくなっている状態

虹彩、毛様体、脈絡膜は眼球を包むぶどうの実のような色の組織であり、まとめて”ぶどう膜”とよばれる。ぶどう膜とそれに隣接する部位におこる炎症を “ぶどう膜炎”という

小腸のうち、胃や十二指腸に近い側の半分弱を空腸、大腸に近い側の半分強を回腸という。また、大腸の始まりの部分を盲腸といい、そのつなぎ目の部分を回盲部という。

本来は痛風発作の治療や予防に使用されるお薬ですが、ベーチェット病の治療にも使用されています。