副症状の中では、多くの患者さんに現れる症状です。関節炎の症状自体は2~3ヵ月で治りますが、多くの場合、ベーチェット病の経過の中で長い年月にわたり何度もくり返し現れます。
ベーチェット病の関節炎は日本では男性よりも女性に多くみられます1)。
ベーチェット病では関節炎をくり返しても骨の破壊は通常おこらないといわれていますが、関節の変形を伴う関節炎の例も報告されています。
1)Ishigatsubo Y et al.:Jpn J Clin Immunol. 34:408-419, 2011
関節炎に対しては、痛みや炎症を抑える非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)とステロイド内服薬が使用されます。関節炎の症状が軽い場合は、NSAIDsのみで症状がおさまるのを待つこともあります。
NSAIDsとステロイド内服薬は関節炎がおさまっている時期は中止し、関節炎が現れた時に再開します。
関節炎の症状がくり返し現れる患者さんには、症状が再び現れることを抑えるために痛風・家族性地中海熱治療薬が使用されます。このお薬による再発予防の効果が十分でない場合は、免疫抑制薬を使用することもあります。
関節炎に使用される主な治療薬
治療薬 | 説明 |
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非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) |
痛みと炎症を抑えるお薬です。 胃腸障害の副作用を防ぐために、粘膜保護薬と一緒に使用することがあります。 |
ステロイド内服薬 |
炎症を抑えるお薬です。 炎症を抑える効果は強力ですが、長期使用による副作用を防ぐため、症状が改善したら量を少しずつ減らしていきます。 |
痛風・家族性地中海熱治療薬 |
本来は痛風発作の治療や予防に使用されるお薬です。 白血球の働きを抑え、炎症を抑えるため、ベーチェット病の治療にも使われます。 |
StageⅠの場合でも条件を満たすと医療費助成を受けられる場合があります。
HLA-B51やHLA-A26が陽性でも、それだけでベーチェット病と診断することはできません。なお、遺伝子検査には保険は適用されません。
最近では針反応で陽性を示す患者さんが少なくなってきており、あまり行われなくなってきています。
炎症が治まっても元の健康な状態に戻すことができない臓器の障害を指す。
ベーチェット病では主に眼障害や消化器病変、血管病変、中枢神経病変などによる内臓の障害(および後遺症)が生じることがある
病気や健康状態が生活の質(Quality of Life)に及ぼす影響を測るための指標。身体的な側面(身体機能、痛み、日常活動など)、役割・社会的な側面、精神的な側面、活力・倦怠感などについての質問票を用いて健康に関係するQOLの状態を調べて数値化する。
SF-36、EQ-5Dなどが知られている。
皮膚や粘膜の組織の一部が壊死してなくなっている状態
虹彩、毛様体、脈絡膜は眼球を包むぶどうの実のような色の組織であり、まとめて”ぶどう膜”とよばれる。ぶどう膜とそれに隣接する部位におこる炎症を “ぶどう膜炎”という
小腸のうち、胃や十二指腸に近い側の半分弱を空腸、大腸に近い側の半分強を回腸という。また、大腸の始まりの部分を盲腸といい、そのつなぎ目の部分を回盲部という。
本来は痛風発作の治療や予防に使用されるお薬ですが、ベーチェット病の治療にも使用されています。